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2007年05月16日(水) 01時00分

止めても止まらぬ電動自転車、転倒事故で22万台リコール読売新聞

 ヤマハ発動機(静岡県磐田市)が製造した駆動装置付きの「電動アシスト自転車」で、ペダルを踏むのをやめてもモーターが数秒間回り続けるなどの誤作動を起こした結果、3件の重傷事故を含む7件の転倒事故が発生していたことが15日わかった。

 同社が今月に入って経済産業省に報告した。同じ駆動装置は、ヤマハのほか、ブリヂストンサイクル、宮田工業の製品でも使用しており、各社は16日から販売した計22万1358台についてリコール(無償点検と部品交換)に乗りだす。

 対象となるのは、ヤマハ製モーターを使用した2001年1月〜03年2月製造の電動アシスト自転車。本来、ペダルを踏み込んだ力に応じて電動モーターが作動する仕組み。

 ヤマハによると、〈1〉ペダルを踏んだ力を検知するセンサーの摩耗でモーターが誤作動〈2〉制御装置の不具合でモーターに電流が正常に流れなかった——などの原因で、停止しようとペダルを踏むのをやめても数秒間にわたってモーターが作動し続けたり、発進時に急加速したりして、乗っている人が転倒する事故が起きていた。

 同省などによると、事故は05年1月〜今年4月に発生。事故はいずれも乗り降りの際に起きており、05年9月には神奈川県で60歳代の女性が発進の際、ペダルに足をかけたところ自転車が勝手に加速して転倒、胸の骨を折った。また、昨年11月には静岡県で60歳代の女性が停止時に転倒して右手を骨折したほか、先月にも香川県で60歳代の女性が発進時に転倒して胸の骨を折る重傷を負った。

 工業製品の不具合を巡っては、パロマ工業製ガス湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故を機に、メーカーは自社製品の死傷事故の発生を把握してから10日以内に国に報告することが、今月14日に施行された改正消費生活用製品安全法で義務付けられた。ヤマハが報告したのは、改正法施行直前の今月9日だった。同社は、「事故原因の特定に時間がかかった。お客様や関係機関への報告が遅れたことは申し訳ない」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070515it15.htm?from=top