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2007年05月16日(水) 11時54分

<水俣病>最高裁で勝訴の原告、行政上は未認定と提訴毎日新聞

 国と熊本県の責任を認めた04年の水俣病関西訴訟最高裁判決で患者として勝訴したのに、認定基準が見直されないため行政上は未認定のまま放置されていることを不服として、原告だった大阪府豊中市の女性(81)が16日、国と熊本県を相手取り、認定を求める行政訴訟を大阪地裁に起こした。最高裁で勝訴した患者が改めて行政の認定を求めて提訴するのは初めて。18日には関西訴訟原告団長だった川上敏行さん(82)とカズエさん(80)夫妻も熊本地裁に同様の訴訟を起こす。現行基準の見直しを迫る新たな訴訟として注目される。
 訴状によると、女性は熊本県水俣市出身で、1971年に兵庫県に転居。78年、熊本県に水俣病の認定を申請したが2年後に棄却された。県への異議申し立ても退けられ、国の「公害健康被害補償不服審査会」に81年、審査請求。一方で88年には関西訴訟の原告となり、04年10月の最高裁判決で水俣病患者と認める司法判断が確定した。
 最高裁判決は感覚障害だけでも患者として認める基準を示したが、国は判決後も、感覚障害に加えて運動失調や視野狭さくなどの症状がなければ水俣病と認めない「(昭和)52年判断条件」(77年に通知)を「裁判所の判断基準とは別」として維持。不服審査会への請求は今年3月に棄却され、行政上は患者として認定されていない。
 女性は「52年判断条件は科学的根拠を欠き、誤っているのが明らかなのに、審査会は十分な審理もせず国の基準に追従した」と主張。熊本県に対しても、申請棄却処分の取り消しなどを求めている。
 また、川上さん夫婦は73年5月、熊本県に水俣病の認定を申請。原告団長として関西訴訟を闘い勝訴したが、申請は34年たった現在も保留されたままになっている。【遠藤孝康】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070516-00000040-mai-soci