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2007年05月14日(月) 07時31分

ヤクルト子会社、売れ残り回収し再納品 賞味期限の間際朝日新聞

 乳酸菌飲料最大手「ヤクルト本社」(東京都港区)の販売子会社が昨年7〜10月、いったん食料品店などの店頭に並べられ、売れ残って賞味期限が迫った飲料や食品を回収し、短期間で大量に売れる別の取引先に再び納品していたことが分かった。子会社内で「再利用」「使い回し」などと呼ばれて一部でルール化されていたが、再納品先には説明していなかった。ヤクルト本社は「賞味期限内とはいえ、一度販売会社の手を離れたものを回収して再び売るのは鮮度管理上、適切ではなかった」として、こうした販売をしないように子会社を指導した。

ヤクルトの販売子会社が作成していたチャート(コピー)。値札ラベル(ラベラー)をきれいにはがす方法などが記されている

 この子会社は、ヤクルト本社から仕入れた飲料、食品を東京都心部で販売する「中央東京ヤクルト販売」(東京都練馬区)。全国に136あるヤクルトの販売会社のうち最大で、昨年12月期の売上高は130億円。

 同社の説明などによると、回収・再納品されていたのは、同社が都内に展開する4支社のうち品川、大田区などで販売する城南支社が卸していた「ヤクルト」「ジョア」「ソフール」などの乳酸菌飲料やヨーグルトで、賞味期限は製造日から14〜21日後に設定されている。

 これらの商品を小売店に納品した場合、賞味期限が迫った商品は販売会社の責任で回収して新しい商品と交換。古い商品は「他勘定」として廃棄するか社内で消費するなどし、損失分は販売会社が負担するのが一般的だという。

 中央東京ヤクルト販売は昨年、「他勘定」を減らす運動に取り組み、城南支社では社員の発案で商品の回収・再納品を開始。同支社の販売員が管内の売店や食料品店、駄菓子店などを巡回し、賞味期限が3、4日後に迫った商品を回収して、短期間で売れるパチンコ店や社員向けに大量に消費する大手企業などに納品していたという。

 同支社は再納品先に、いったん店頭に並んだ商品であるという事実を伝えておらず、小売店が商品に張った値札ラベルをはがしてから納品していた。回収・再納品のやり方は手順書にルールを定め、値札ラベルを水に浸してきれいにはがす方法や、はがすことに失敗した場合に「他勘定」とすることなどをチャートで記していた。

 回収・再納品は同支社内で「再利用」などと呼ばれ、約4カ月続けられた。同支社は今年1月の社内発表会で廃棄ロスの減少につながったと成果を報告。この席で「お客へのサービスとしてはいい方法ではない」と指摘され、以後は行わないことにしたという。同社によると、回収・再納品された商品の数量は把握していないという。

 ヤクルト本社は今月上旬に中央東京ヤクルト販売から報告を受けた。本社広報室は「想定外のやり方で驚いた。お客様への配慮が足りず残念だ。販売会社には監督不行き届きを指摘しており、二度と起きないようにしたい」としている。

http://www.asahi.com/life/update/0513/TKY200705130144.html