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2007年05月09日(水) 17時04分

自殺防止:「予防目標低すぎる」 坂井のパトロールNPO、内閣府に意見書 /福井毎日新聞

 政府が先月末にまとめた自殺総合対策素案の目標値が、「16年までに、05年の自殺死亡率を20%減少させることを目指す」としていることに対し、自殺予防運動を展開する民間団体などから、「目標が低すぎる」と批判の声が上がっている。坂井市の東尋坊で自殺防止パトロールを行うNPO「心に響く・文集編集局」(茂幸雄理事長)など全国で活動する自殺予防NPOは10日、連名で、「(国が7年前に示した)10年までに年間自殺者数2万2000人以下」に戻すよう求める意見書を内閣府に提出する。
 厚生労働省によると、05年の自殺者数は3万553人で10万人あたり24・2人。素案の目標ではこれを約19人に減少。実現すれば年間自殺者数は約2万5000人になる。
 しかし、同省が00年に示した「健康日本21計画」では、「10年までに2万2000人以下」との目標を打ち出しており、これに準拠するように、05年の「自殺予防に向けての政府の総合的な対策について」でも、「今後10年間で、自殺が急増した98年以前の水準(97年の自殺者数2万4391人)に戻す」と明記した。素案の数値は、この目標より3000人あまり上回っている。
 提言書では「素案の20%減少という数字には根拠がない。社会全体で自殺対策に取り組む本気度を数値目標に盛り込むべきだ」と指摘するといい、茂理事長は「本来は『自殺者数ゼロ』がしかるべき数値のはず。せめてこれまでの目標値を示すべきではないか」と、消極的な国の姿勢に疑問を呈している。【大久保陽一】

5月9日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070509-00000308-mailo-l18