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2007年05月07日(月) 00時00分

生保不払い100万件超に読売新聞

大幅上積み 背景に「甘い」判断

 生命保険会社38社による保険金の不払い件数が、すでに発表した件数から大幅に上積みされ、100万件を超えそうだ。金融庁への報告期限に間に合わなかった未調査分が多数あったうえ、調査済み分についても不払い報告の基準が各社で異なり、「不払いではない」と甘く判断した会社もあるためだ。金融庁は各社へヒアリングを開始し、調査基準の統一にも乗り出した。調査済みの契約に不払いの大幅上積みがあれば、再発防止を誓う業界の姿勢が問われることになる。

 生保38社は2001〜05年度の契約のうち、がんや脳卒中などの3大疾病保険金、手術・入院などの給付金について、事務処理のミスで支払われなかったケース、保険金が支払われる可能性がありながら請求がないため支払わなかったケースなどを調べている。

 生保各社は4月13日、約25万件、約284億円の不払いがあったと公表した。ところが金融庁がその後、詳しく調べたところ、不払いは約44万件、計359億円に拡大した。

 例えば、AIGスター生命保険やマニュライフ生命保険などは、保険契約が失効した場合に契約者に払い戻される「失効返戻金」や保険金支払いが規定より遅れた際に支払う「遅延利息」などの不払いを明確に発表せず、金融庁への報告のみにとどめていた。

 遅延利息について、第一生命保険は昨年4月に約13万件の不払いを公表しているため「今回は0件」と金融庁に報告していた。失効返戻金でも、最大手の日本生命保険が判明分だけで約5万6000件の不払いがあったと報告しているのに対し、第一生命、住友生命保険は「契約者に対して十分な連絡を取っており、不払いではない」との判断でカウントしなかった。どの程度、請求を促せば不払いに当たらないかの基準を統一すれば、一気に不払いと認定し直される可能性もある。

 生保各社は5〜9月末にかけて、残る契約についての調査を完了させる予定だ。未調査分は主要生保12社だけで100万件を超えるとみられる。金融庁のヒアリングで不払いの基準が厳格化されれば、1社あたり数万〜数十万件上積みされ、全体の不払い件数は100万件を超えることになりそうだ。

 損害保険業界では、医療保険金の不払い問題で、一部業務停止命令を受けた東京海上日動火災保険や日本興亜損害保険が、金融庁のヒアリングを受けて不払い件数を大幅に積み上げた。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20070507mh09.htm