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2007年05月05日(土) 03時06分

<近未来通信>中国でビル購入計画 転売益で投資家配当狙う毎日新聞

 IP電話会社「近未来通信」(東京都中央区、破産手続き中)を舞台にした投資詐欺事件で、同社の石井優社長(50)が投資家から集めた金で中国にある高層ビルを購入する計画を進めていたことが同社関係者の話で分かった。北京五輪や新幹線整備で価値が上がるのを待って売却、転売益を架空の通信事業の利益と偽って投資家への配当に回すつもりだったという。石井社長が投資家を信用させてさらに多くの金をだまし取るために、新たな金策に走っていた実態が明らかになった。
 関係者によると、近未来通信が購入計画を進めていたのは中国の山東省威海市の再開発地区に建設中のオフィス用高層ビル。昨年、現地の中国側関係者とビルの購入資金を共同で出資することに合意し、9月8日に威海市が開いた海外企業との懇談会の席で石井社長が中国側関係者らと契約を結んだ。
 同社の出資額は500万米ドル(日本円で約6億円)。支払期限は10月中旬で、投資家から通信用サーバーを購入すると偽って集めた資金を充てる予定だった。中国では08年に北京五輪が開かれるほか、山東省は10年に北京—上海間に開通予定の中国版「新幹線」の建設予定ルートにあたり、不動産価格の値上がりを見込めるという。
 同社の元幹部は毎日新聞の取材に「石井社長は『威海の土地はそのうち3倍になる』と年中豪語していた。いずれビルを売却して得た利益を配当として投資家に払うことで信用させて、通信事業名目で新たな投資をさらに引き出す予定だった」と話す。
 しかし、ビル購入の契約後に総務省の調査などで同社の経営の実態が自転車操業だったことが明らかになり同社は本社を閉鎖。ビルの購入資金も支払期限までに捻出(ねんしゅつ)できず、契約は破棄された。石井社長は11月17日に中国に出国し、詐欺容疑で国際手配されている。【永井大介、鳴海崇】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070505-00000014-mai-soci