大手銀業績に波及
今年3月期の決算で、消費者金融大手4社の赤字額が合計で1兆円を上回る見通しとなったことで、貸金業法改正の影響が、3メガバンクを中心とする大手銀行の業績に波及している。
25日に税引き後利益の予想を3783億円の赤字に下方修正したプロミスには、三井住友銀行が約22%出資している。出資比率に応じて三井住友フィナンシャルグループの連結決算に赤字が反映され、税引き後利益を800億円程度、押し下げる要因となる。保有株の価値を低く見直す減損処理も行えば、影響はさらに拡大する。
2573億円の赤字を見込むアコムには、三菱UFJフィナンシャル・グループが約15%を出資しており、こちらも赤字の一部が三菱UFJの決算に反映される。さらに三菱UFJは傘下に信販大手の三菱UFJニコス(520億円の赤字予想)も抱え、収益を圧迫している。
みずほフィナンシャルグループは、消費者金融会社と資本提携していないが、約4579億円の赤字を見込んでいる信販大手のオリエントコーポレーション(オリコ)と親密な関係にある。オリコに行った巨額の金融支援の影響などで、みずほの税引き後利益は当初予想より1800億円少ない5400億円にとどまる見通しだ。
ただ、大手銀行はいずれも、提携する消費者金融や信販各社との関係を維持する方針を示している。
三菱UFJの畔柳信雄社長は消費者金融事業について「正当なニーズが存在することは確かだ。健全な市場発展にチャレンジしていかなければならない」と話す。
三井住友や新生銀行が、流通系カード大手のオーエムシー(OMC)カードの株式取得に強い意欲を見せるなど、関係強化を目指す動きも目立つ。
個人向けビジネスの強化を目指す大手銀行が、消費者金融や信販・カード会社の業績が悪化した機会をとらえて、むしろ積極的にこれらの業界との関係を強化し、業界再編を主導していくのではないかと予想する声もある。