奈良県生駒市の総合スポーツ公園用地取得をめぐる背任事件で、不当な高値での山林取得に関与したとされる同市議会議長酒井隆容疑者(65)=背任容疑で逮捕=が、1億円近い売却益を得たとされる建設会社側から1000万円を受領していたことが26日、わかった。中本幸一・前市長(70)=同容疑で任意聴取=も売却益の一部を受け取ったとみられ、大阪地検特捜部は、山林を高値取得した見返りだった疑いがあるとみて、趣旨について慎重に調べを進めている。
調べでは、酒井議長と中本前市長は奈良市の建設会社「ウツミ」元社長内海武正容疑者(60)=同容疑で逮捕=らと共謀。同社役員奥田照子容疑者(34)=同=の母親が近畿日本鉄道(大阪市)などから3812万円で買った生駒市南田原町の山林約4万平方メートル(時価1243万円)の高値売却を計画し、03年12月に公社に1億3480万円で先行取得させ、同価格で買い取ることになる市に損害を与えたとされる。
酒井議長は03年秋、総合スポーツ公園建設計画の担当職員を通じ、中本前市長に山林の先行取得を急ぐよう要請。中本前市長は議長の意向を聞いた後、公社による山林の先行取得を決めていた。この結果、母親は1億円近い売却益を得た。
関係者によると、売却代金はウツミと取引がある銀行に開設された母親名義の口座に振り込まれた。その後、ウツミ側が引き出し、議長に1000万円、前市長に一部が渡ったという。
酒井議長は逮捕前の朝日新聞の取材に「金は一切もらっていない」と説明。中本前市長は昨年9月、「1円たりとも見返りはもらっていない」と関与を否定していた。
http://www.asahi.com/national/update/0426/OSK200704260037.html