冷凍食品大手「加ト吉」(本社・香川県観音寺市)グループが、伝票上だけで売買する不明朗な「循環取引」を繰り返していた問題で、取引の一部に連結子会社「加ト吉水産」(同)名の偽造印が使われていたことがわかった。
加ト吉が設置した弁護士らによる外部調査委員会の事情聴取に対し、加ト吉の元常務(現取締役)は循環取引への関与を認める一方、偽造印の使用へのかかわりを否定。もう一人の中心人物とされる香川県の貿易会社社長は「多忙」を理由に調査に応じていないという。有印私文書偽造の疑いが強く、加ト吉は容疑者不詳で刑事告訴も検討している。
関係者によると、循環取引の中で偽造印が使用されたのは、加ト吉水産と大阪市の中堅商社との売買契約書。冷凍クリや健康食品を購入する側の加ト吉水産の社印として契約書の「買い主」欄に押印されていた。
中堅商社によると、2006年9月期決算の1年間に、こうした伝票上の取引で加ト吉と加ト吉水産に総額200億円分の商品を販売、うち8割以上が加ト吉水産との取引だった。両社との取引は02年6月から始まったが、偽造印は取引が中止された昨年12月までの数か月間に作成された契約書に多く見られるという。