農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」が発注した林道整備の調査業務をめぐる談合事件で、同機構幹部が「落札予定」に決まった公益法人など業者側に入札額を事実上指示していたことがわかった。談合の疑いが持たれないように入札額を操作していた疑いも浮上。公正取引委員会は機構幹部が主導した悪質な官製談合だったとみており、家宅捜索で押収した資料の分析を進める。
問題の調査・測量業務では、同機構本部の林道企画課長や全国8カ所の地方建設部の林道課長らが、受注を希望する公益法人や民間コンサルタント会社の窓口になった。
年度ごとに落札する法人や業者が割り振られ、受注が決まった法人や業者の担当者は本部や各建設部の課長に呼ばれ、意向を伝えられたという。
関係者によると、法人や業者の担当者はその際、機構の課長らから、入札すべき額を聞き出していたとみられる。
課長らが数字をメモに書いて見せ、金額を教えたケースもあったとされる。数字を示すことに難色を示す課長もおり、その場合は法人や業者側が自分で額を積算して質問。課長らは「高すぎる」「もうちょっと上」などと、額を示唆した疑いがあるという。
「本命」となった法人や業者の担当者は、入札に参加するほかの法人などに、機構側から示された入札額を伝達。ほかの法人などはそれより高い金額で応札していたとされる。
これまで発覚した官製談合事件では、上限の価格で、それ以上の金額では落札とはならない「予定価格」を官側が漏らす例が多かった。
しかし、予定価格を伝えると、業者側は予定価格に極めて近い額で入札しがちで、予定価格に対する落札価格の比率を示す「落札率」が高止まりするケースがほとんど。
落札率が高すぎると談合が疑われやすいため、同機構側は90%台前半などを目安に落札率を設定。予定価格ではなく、入札額を法人や業者側に事実上指示していたとみられる。
ある機構関係者は「最初は95%程度だったが、その後、談合に対する世間の目が厳しくなり、徐々に下がった。ある時点からは93%が決まりのようになり、ほとんどの人がまねていた」と説明している。
朝日新聞が03〜06年度の入札調書をもとに調べたところ、約400件の平均落札率は約92.5%で、談合があった割には比較的低くなっている。
http://www.asahi.com/national/update/0420/TKY200704190401.html