大手ガス会社が発注する中高圧のガス管(鋼管)の設置工事の入札をめぐり、JFEエンジニアリング(東京)、新日本製鉄系列の日鉄パイプライン(同)、住友金属工業系列の住友金属パイプエンジ(堺市)の3社が談合していた疑いが強まり、公正取引委員会は19日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査に入った。工事や納入するガス管の価格水準の維持をはかった価格カルテルにあたる可能性もあり、公取委は不透明な取引の実態解明を目指す。
新日鉄系列の新日鉄エンジニアリング(東京)も対象になっている。
談合の疑いがもたれているのは、東京ガスや大阪ガスが発注する中圧管や高圧管の工事。ガス製造工場などから中高圧のガスを送り出し、中継施設まで運ぶ幹線部分に使われる。大きな口径の鋼管で、ガス供給網の上流部分にあたる。
両社のような大手ガス会社は、鋼管を地中に埋設する工事を鋼管メーカーやエンジニアリング会社などに依頼している。
多くのケースで、登録してある取引先に参加を募り、指名競争入札などを実施しているという。ガス会社はさらに、落札したメーカーに見積もりを出させて直接交渉し、ガス管の納入価格を含めた工事価格を最終的に決める仕組みだという。
しかし、東京ガスや大阪ガスの場合、受注に成功していたのは、JFE、日鉄、住金の3社にほぼ限られていたとされる。3社は事前に話し合って落札予定社を決め、工事を分け合っていた疑いがもたれている。
工事の受注額は数億〜数十億円で、市場規模は100億円を超える年もあるとみられる。
東京ガスなどの場合、工事は3工区以上に分けて発注することが多く、3社が分け合える構図になっていたという。
さらに、3社はそれぞれ個別にガス会社とガス管の納入価格や工事価格などを交渉する際、お互いに連絡をとりあい、価格などを話し合っていた疑いもあるとされる。
こうした行為は通常、価格カルテルと呼ばれるが、独禁法上は談合とカルテルに区別はなく、いずれも市場の競争を妨げる「不当な取引制限」にあたる。
鋼管工事はかつては新日鉄や住友金属が自社で請け負っていたが、その後、分社化したり、事業譲渡したりしたという。
http://www.asahi.com/national/update/0419/TKY200704190173.html