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2007年04月15日(日) 10時04分

〈TV端会議〉演出、やらせ、捏造の境界はどこに?朝日新聞

◇投稿募集
■次々週は
 新学期とともに、語学番組もリフレッシュ。卓球選手の福原愛が出演する「とっさの中国語」(NHK)などの講座や、押切もえら出演のバラエティー系の「英語でしゃべらナイト」(同)が注目です。語学番組への注文や活用法を教えて下さい。23日(月)必着。
■次週は
 高度成長期に型破りなサラリーマンを演じ、独特のユーモアで世の中をしゃれのめした植木等さん。植木さんとあの時代への思い出を。16日(月)必着。
■投稿方法
 応募はEメールでこちらまで。

匿名・ペンネームでの掲載もOKですが、投稿時は住所・氏名・年齢・電話番号を明記してください。採用分には薄謝を進呈します。朝日新聞紙上で紹介するほか、本社各種電子メディアに収録する場合があります。

 「発掘!あるある大事典2」の捏造(ねつぞう)問題では、私たちのテレビの見方についても考えさせられました。許される演出と、許されない捏造・やらせの境界は、どこにあるのでしょうか。

 「以前ある番組で同じ血液型同士に班分けした子どもたちに工作をさせて、性格や行動の違いを実験していた。はじめから『B型はマイペース』というような結論ありきで編集しているように見えた。そもそも人の性格が4種類に分類できるはずもなく、バラエティーでも演出の範囲とは言えないのでは」(さいたま市・小林裕子・46歳)

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 同じ情報番組でもグルメとダイエットでは、見方に違いがあるようです。

 「本当はまずくても『おいしい〜』というコメントや、『さっぱりした口あたり』などの表現は誇張があってもいい。でも健康情報として『やせる』効果を強調するのはよくない。視聴者も楽してやせる方法はないと知るべきだ」(京都市・納豆好き娘・40歳女性)

 「健康のために口にするものやダイエットのテーマは、演出せずに事実をストレートに伝えてほしい。番組の作り方も変化を迫られているのでは」(札幌市・佐藤りえ・36歳女性)

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 実際、テレビに変化を感じる人もいます。

 「事実に基づいた演出はOKでも、事実でないことを捏造するのはダメ。タレントが魚釣りに挑戦する企画で、以前なら苦労して最後に大物を釣り上げる演出がお約束なのに、がんばったけど釣れませんでしたという番組があった。そのほうが好感が持てる」(京都市・祐希ママ・41歳女性)、「テレビも表現活動のひとつ。だから、小説を読むときのように、作り手の意図や姿勢を常に問いかけていくしかないでしょう」(広島市・坂根賢哉・39歳)

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 最後は番組の作り手へのこんなメッセージ。

 「『あるある』以来、テレビが報じるデータを信用できなくなり、どうせ捏造か改ざんだろうと思う自分が嫌になる。うそのない正確な情報を提供してもらうには、テレビ局の良心を待つしかない。それに気づいてもらうためには当分の間、『見ない』という方法でテレビを突き放してみることも必要だと思う」(大阪府・津国民雄・67歳)

◆記者もひとこと

 前クールのドラマ「東京タワー」、個人的に結構ハマりました。コブクロの主題歌が流れてくるともううるうるで。バラエティーを見て「バカなことやってるよ」と思いつつ笑いをこらえ切れないこと、あります。ただ、泣いても笑ってもそれはフィクションでありコントだと、私たちは無意識に了解しています。でも健康やダイエットなどの切実な話題では、テレビ情報を無防備に信用しがち。分かりやすさに隠された危険性を見抜く目が必要だと痛感します。

http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200704130246.html