生命保険会社38社は13日、2001〜05年度の5年間の保険金不払い調査の結果を金融庁に報告した。不払い件数は計25万件、不払い総額は284億円にのぼった。
このうち、日本生命保険など主要生保12社だけで23万件、267億円に達した。保険金が支払われる可能性があったのに、契約者から保険金の請求がなかったとして支払わないケースが目立った。大半の会社は調査が終わっておらず、各社が最終的に調査を終える6月末には、不払い件数は計100万件を超える可能性がある。
金融庁は最終報告を踏まえたうえで、生保各社に対して行政処分に踏み切るのは必至とみられる。大手損害保険会社で自動車保険などで大量の不払いが発覚したのに続き、生保会社の大規模な不払い実態が判明したことで、保険会社のずさんな経営体質が厳しく問われそうだ。
調査結果によると、死亡保障の保険などにプラスして加入する「特約」の保険金・給付金の不払いが目立つ。このうち、契約者から保険金の請求があったのに、事務処理ミスで払わなかったのは12社で約8万3000件、76億円分あった。
さらに、契約者から保険金の請求がないとの理由で払わなかった例も約2万3000件、171億円あった。例えば、入院給付金を支払う場合には、通院給付金や手術給付金なども支払う可能性が想定できたのに払わなかった。
がんや脳卒中、心筋梗塞(こうそく)になると保険金が支払われる「3大疾病特約」の加入者から、入院給付金の請求を受けた際、診断書に「がん」と記載されていたのに、3大疾病特約の保険金を払わなかったケースも多い。日本生命保険では3大疾病特約で2000万円の保険金を払わなかった例もあった。
ただ、未調査の契約は100万件以上残っているとみられ、主要生保12社は今後、最大で80万件超、不払い件数が増える可能性があると見込んでいる。
一方、医療保険など「第3分野」に関する保険金不払いで金融庁から行政処分を受けた東京海上日動火災保険など損保7社は13日、報酬カットなどの社内処分を発表した。東京海上日動は石原邦夫社長が代表権のない会長に退き、役員報酬全額を6か月間返上するなど、最も多い174人を処分した。日本興亜損害保険は役員9人の報酬を50〜10%、6か月間カットする。
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