松岡農林水産相の資金管理団体が、97〜05年の政治資金収支報告書の「交際費」に記載した総額約8600万円の使途を全く記載していないことが分かった。1件5万円以上の交際費は、金額や支出先などを記載するよう義務づけられているが、高額なのに1件も公表されていないのは異例。事務所費や光熱水費疑惑の説明を避け続ける松岡氏。9年間にわたる交際費は毎回、「5万円未満」だったのか——。
交際費の内訳がまったく記されていない松岡氏の資金管理団体の05年収支報告書収支報告書の支出欄は、事務所費や光熱水費などを含む「経常経費」と、組織活動費や選挙関係費などの「政治活動費」に分かれている。
政治資金規正法施行規則によると、交際費は行事費や渉外費などとともに組織活動費に含まれる。1件5万円以上の支出は、領収書を添付し、支出目的▽金額▽日付▽支出先などの内訳を収支報告書に記す決まりだ。ただ、どんな支出を交際費に計上するかについては、提出者側に任されており、総務省は「実態に基づいて各団体が判断すること」としている。
資金管理団体「松岡利勝新世紀政経懇話会」は、05年の収支報告書の組織活動費として、交際費=2104万円、組織対策費=792万円、渉外費=752万円を計上している。
組織対策費については「役員会/5万2000円/7月19日/○○」(○○は店名)といった内訳を25件、渉外費も同様の内訳34件を記載している。だが、交際費は総額しか記しておらず、いつ、どんな目的で、だれに、いくら支出したのかが、不透明になっている。
交際費は、98年の245万円から毎年増え続け、05年には2104万円。交際費を計上し始めた97年からの9年間で総額8648万円にのぼる。どの年も内訳がなく、支出の実態が年々わかりにくくなっている。
また、松岡氏が代表を務める「自民党熊本県第三選挙区支部」の収支報告書では、01年に交際費として149万円を計上したが内訳は記載せず、02〜05年は計上していなかった。「松岡利勝後援会」も05年に交際費223万円を計上したが、内訳は載せていなかった。
安倍内閣の閣僚や副大臣、政務官ら計71人の資金管理団体の収支報告書を見ると、会食費や贈答品費を交際費として計上している例が多い。
05年に1000万円以上の交際費を計上していたのは、松岡氏を除くと、安倍首相(1002万円)と麻生外相(2637万円)の2人だけ。
安倍氏は慶弔費や贈答品費として計約430万円分、麻生氏も料亭での会合費など計約1200万円分の内訳をそれぞれ記載している。いずれも交際費の約半分の使途が明確になっている。
松岡氏と同じように、交際費の費目を立てながら内訳を記していない人もいたが、松岡氏ほど高額で内訳のないケースはなかった。
懇話会は、どんな支出を交際費として計上しているのか。5万円以上の支出は1件もなかったのか。松岡事務所に文書で説明を求めたが、「こういう件に関しては取材に対してお答えしていない」との回答だった。
http://www.asahi.com/national/update/0412/TKY200704110353.html