訪問介護最大手の「コムスン」(東京都港区)が介護報酬を不正請求していた問題で、同社が新規の訪問介護事業所を申請する際、すでに辞めたヘルパーの名前を使って法定のヘルパー数を確保したように見せかけていたことが、東京都の調べで分かった。同社は06年までの2年間で新規の事業所を379カ所開設しており、都は急激な業務拡大方針が虚偽申請の背景にあるとみている。
都の調べでは、開設時に虚偽の届け出が分かったのは葛飾区、中央区、世田谷区の事業所。辞めたヘルパーを責任者として届けたり、他の事業所に常勤しているヘルパーの名義を使ったりしていた。このうち中央区の事業所は、法の定めで3人いたはずのヘルパーのうち1人はすでに辞めており、2人は別の事業所の常勤ヘルパーだった。
コムスンの親会社「グッドウィル・グループ(GWG)」は、「申請から事業開始までの間に入社を辞退したり退職したりする者もいる」と説明。一方、都は「名義を使われた本人から、名義使用時にすでに辞めていたことを確認しており、極めて悪質だ」と判断。3事業所の指定取り消し処分を内定した。しかし、同社は処分前に、都に対して3事業所の廃止を届けた。
GWGの06年6月期の事業報告書によると、コムスンの事業所は04年は全国で804カ所だったが、06年には1183カ所になった。業界関係者は「当時、同社はニチイ学館と激しいシェア争いをしており、それが背景にあったのではないか」と指摘している。
http://www.asahi.com/national/update/0411/TKY200704100393.html