東芝(当時)が製造・販売した洗濯用の電気乾燥機で発熱したり発火したりする事故が90年以降、243件起きていたことが分かり、経済産業省は9日、東芝コンシューママーケティングに対し、改修を進めるように要請した。同社はリコールなどして改修を進めていたが、その後も家屋が全焼した火災が2件、半焼も1件起きていた。同社は新聞広告を出すなどして改修を強化する。
経産省によると、対象機種は86〜88年に製造された「ED—D300」「ED—D600」「ED—D604N」と、88〜89年製造の「ED—D302」「ED—D602」、日本電気(当時)の委託で87〜88年に製造していた「HD—339NA」の計6機種で、約15万台が販売された。いずれも制御基板などのはんだ付けに問題があり、接触不良を起こして発熱し、部品が溶けるなどの事故が続き、熱による火災で家屋が焼損する事故が13件発生した。
88年までに製造された4機種については、発熱などによる部品の変形事故が28件起きたことから、東芝が90年5月にリコールを出して点検・改修を進めていた。
しかし、91年2月に三重県で、同年9月に兵庫県でそれぞれ家屋が全焼する火災が起きたほか、92年3月にも京都府で家屋が半焼するなど、計156件の事故が起きていた。
また、88年以降に製造された2機種も、発熱事故が27件起きたことから、同社が93年11月に自主点検と修理を始めたが、その後も32件の事故が続いた。
経産省や東芝コンシューママーケティングによると、販売された約15万台のうち、新聞広告で改修を呼びかけた、88年までに製造の4機種の点検・修理率は90.8%。一方、販売店への呼びかけにとどまっていた、89年までに製造の2機種の点検・修理率は今年3月末時点で52.3%という。未修理・未点検の製品は、最大で計約4万3000台が市場に残っている可能性がある。