慶応大医学部の福田恵一教授らのグループは、突然死を引き起こす不整脈の防止に不可欠なたんぱく質を発見した。
このたんぱく質が不足したり過剰に作られたりすると、心臓の交感神経の分布が異常なパターンを形作り、心臓の電気活動が安定化しないため、致死的な不整脈が起きるという。9日の医学誌ネイチャー・メディシン(電子版)に発表する。
福田教授らは、脳内で神経軸索が伸びるのを防いでいるたんぱく質「セマフォリン3a」に着目。このたんぱく質の心臓での分布を調べたところ、交感神経の分布の形成に関係していることが分かった。
このたんぱく質を作れないように遺伝子を改変したマウスを作製し、その心臓を調べたところ、交感神経の分布は無秩序となった。
こうしたマウスは8割が生後1週間以内に死亡し、生き残ったマウスを調べてみると、心拍数が減少したり、心拍が一時的に停止する不整脈を起こしていた。
一方、このたんぱく質を過剰に分泌するマウスを作製したところ、心臓内の交感神経が激減し、生後8週以降、心拍数が異常に増加する不整脈で突然死を起こす傾向が見られたという。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070408i517.htm?from=main5