【サンパウロ=中島慎一郎】南米パラグアイの国家警察当局が2日明らかにしたところによると、同国南東部のカアグアス県で1日午後(日本時間2日未明)、現地の土地管理会社「ビクトリア」社長で現地在留邦人の太田洪量(ひろかず)さん(62)と秘書の山口佐和子さん(37)ら計4人が、武装集団に誘拐された。
犯行グループはビクトリア社に身代金15万ドル(約1800万円)を要求している。
国家警察によると、犯人らは自動小銃で武装し、軍の検問を装って太田さんらの乗った乗用車をとめ、2人を誘拐した。一緒に誘拐された別の2人は、車で現場を通りがかったパラグアイ人の警察官とその恋人で、携帯電話で事件を通報した後、連れ去られたという。
太田さんら2人は、カアグアス県に土地を見に行った後、首都アスンシオンに戻る途中だったという。また、同県近くで開かれた集会に参加した帰りだったとの情報もある。
犯人らは、アスンシオン郊外でワゴン車を乗り捨て逃走。犯行に使われたワゴン車は以前、別の誘拐事件でも使われたものとみられ、警察で関連を調べている。
「ビクトリア」は世界基督教統一神霊協会(統一教会)の関連会社とされ、統一教会などが現地に所有する土地を管理している。
現地関係者によると、現場周辺では最近、企業家などを狙った身代金目的の誘拐事件が多発。パラグアイでは2005年、さいたま市出身の牧場経営者が銃殺される事件があったほか、1996年にも日本人技術者が自動車窃盗団に殺害された。