■国語
はやりの「ギャル文字」や「ネット語」も「現代文」のはず——。女子中高生らが携帯電話のメールなどに使うギャル文字や、インターネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」などで使われる独特の表現が登場した。
ギャル文字は、ロシア語や数学的な記号などを組み合わせてひらがなや漢字に見立てたもの。ネット語では「お前」を「藻前」と書くなど変換ミスかと思うような表記がある。千葉工業大の杉本卓・助教授が、デジタル機器の文字入力機能の特性と関連づけた評論文を東京書籍の教科書に書き下ろした。
教科書の編集者が、2ちゃんねるを舞台にしたヒット小説「電車男」を読み、若者がインターネットで使う言葉遣いに驚いたのがきっかけだった。杉本さんへの原稿依頼は2年前。
「先生には扱いづらいかもしれず、ハラハラした。若者のほうが冷静に読めるかもしれません」と杉本さん。新しい言葉表現には人間のつながりを強める機能と、異質なものを排除する働きがあることを指摘し、「人間関係にも変化が表れてきたが、本質的なものか見極めるには時間が必要」と結んでいる。
■音楽
音楽2で演歌が初めて登場した。北島三郎さんの「まつり」。楽譜のほか「(演歌は)生活のにおいや色、人の情など日本人としての生きざますべてが凝縮された歌だ」という北島さんの言葉も紹介した。
掲載した教育芸術社は「日本の自然や情緒を歌った歌を大事にしてほしいと考えた」。教科書ではこれまで西洋音楽が中心だったが、同社の別の「音楽2」には石川さゆりさんの「津軽海峡冬景色」も。美空ひばりさんから氷川きよしさんまで演歌の歴史も紹介した。
教科書に載ったことについて、北島さんは「うれしいのと、役に立てるかなという思いがある」と喜んだ。「まつり」が選ばれたことには「日本人は祭り好き。この歌には、日本人の魂や風景がいっぱい入っている」。
高校生にどう歌ってほしいか。「専門的なことは言わない。リズムと雰囲気と詞の良さがある。成績が悪いとか、むしゃくしゃすることがあっても『まつり』を歌って吹き飛ばしてほしい」
■家庭
皇太子さまが一昨年の誕生日の会見で紹介して話題になった詩「子は親の鏡」が、選択科目「発達と保育」に登場した。調理などを学ぶ「フードデザイン」では、すっかり身近になった韓国やタイの料理が紹介された。
「子は——」は、米国の作家で教育学者ドロシー・ロー・ノルトさん(故人)の作。掲載した実教出版は「子どもが育つ様子をわかりやすく扱っており、生徒の心にも届く」と説明する。
2社が申請したフードデザインには、和洋中の料理とともにアジア料理が並んだ。実教出版は初めてスンドゥブチゲ(豆腐チゲ、韓国)やトムヤムクン(タイ)を取り上げた。教育図書も、手巻き生春巻き(ベトナム)やタイ風焼きビーフンを紹介した。
どちらもオールカラーの写真入りで、イラストを交えて調理方法を解説した。「意外と手軽にできる。学校での調理実習なので、食材の値段にも気を使いました」と教育図書の担当者。
http://www.asahi.com/national/update/0331/TKY200703300390.html