お手柄の警察犬チャンプと担当の池田正寛巡査=愛知県東海市の県警警察犬訓練所で
チャンプ号は7歳の雄のシェパード。人間に換算すると50歳ほどになるベテラン。担当の池田正寛巡査は「普段はおっとりしているが、現場に行くと集中する」と喜んでいる。
同県豊川市に住む85歳の認知症の男性が自宅からいなくなったのは1月21日。同居の妻(79)が午後6時半ごろ気づき、豊川署に捜索願を出した。小雨交じりの日で、深夜になると6度前後まで冷え込んだ。署員や消防団員ら約60人が約4時間にわたって自宅周辺を捜したが見つからず、チャンプ号ともう1頭が呼ばれた。
池田巡査らが手がかりにしたのは「夫はよく神社に行く」という妻の話だった。自宅北側に豊川稲荷があったため、北へ行ったとみて、車で移動しながら立ち寄りそうな神社を回った。
チャンプが男性を見つけたのは日付が替わった22日午前2時10分ごろ。自宅から約5キロ離れた3カ所目の神社に着くと、それまでになく盛んに鼻をきかせながら境内を進み、暗がりに顔を向けたという。池田巡査が懐中電灯を照らした先に、土蔵の壁にもたれて座っていた男性がいた。
一緒に捜索にあたった林口恭久警部補は「行方不明から長時間たってからの出動で、雨も降っており、自宅からにおいをたどるのは難しかった。誰もいない境内にいたので臭気が残り、反応できたのではないか」と話す。
3月7日には、名古屋市港区に住む小学2年の双子の姉妹(8歳)の捜索に出動した。姉妹は午後3時ごろ、自宅から遊びに出たあと、道に迷った。チャンプは午後10時半ごろ捜索に加わり、同11時半ごろ、自宅から約2.5キロ離れた路上を歩いているところを、捜査員とともに見つけた。
愛知県警の警察犬は昨年、108件の行方不明者捜索に出動したが、無事保護につなげた例はなかった。林口警部補は「訓練の成果が出たことを励みにしたい」と話している。
http://www.asahi.com/national/update/0331/NGY200703310004.html