花粉症の症状軽減を狙う遺伝子組み換えの「花粉症緩和米」について、農林水産省は医薬品として開発していくことを決めた。
日常的に食べる手軽な食品としての実用化を目指してきた農水省だが、厚生労働省が「医薬品に該当する」との最終判断を示し、食品での開発を断念した。計画変更を受け、2010年を目指していた実用化は大幅に遅れそうだ。
花粉症緩和米は、イネの品種改良などに取り組む農水省所管の独立行政法人「農業生物資源研究所」(茨城県つくば市)が研究にあたってきた。動物での薬効試験と安全性試験を終え、2006年度中に食品としての開発を視野にヒトでの安全性試験に入るため、昨年11月には同研究所内部の倫理委員会で試験計画が了承されていた。
しかし、厚労省は今年1月、農水省が計画している花粉症緩和米は、治療効果を目的にしており医薬品として扱うべきとの最終判断を決定。これを受け、同研究所は、06年度のヒト試験を先送りし、交付されていた約5000万円を国庫に返納することにした。
農水省は07年度、医薬品としての開発を進めるため、治験(臨床試験)に必要なデータの収集などを行う。医薬品を開発する場合は、副作用や有効性を厳密に検証するための治験が必要で、治験の準備から医薬品としての認可まで5年以上かかるのが一般的だ。