30日告示された県議選(定数51、17選挙区)は、68人が立候補を届け出た。5選挙区で9人の無投票当選が確定した。選挙戦になった12選挙区では候補者が一斉に街へ出て、支持を訴えた。県議会は自民系と民主系の議員数が伯仲しており、選挙期間中は両者の単独過半数をめぐる攻防を軸に、勢力を広げたい公明、共産も、各地で舌戦を繰り広げる。投開票は知事選と同じ4月8日におこなわれる。
◆合併で広い選挙区 奔走◆
届け出を済ませた候補者らは、さっそく選挙事務所などで第一声を上げた。
市町村合併の影響で4選挙区が合区して選挙区が広がった津市選挙区では、候補者が「選挙区は琵琶湖より広い。新しい地区では新顔のつもりで頑張る」と訴えた。集まった支援者たちは、「頑張ろう」と拳を突き上げたり、当選を誓って乾杯したりして激励した。
候補者らは選挙カーに乗り込み、街頭で政策を訴えた。現職が引退した旧安芸郡選挙区の津市安濃町では候補者同士がすれ違う場面も見られた。担当者は「票を取り合う構図は仕方がない」と硬い表情を浮かべた。
同様に市町村合併で合区した伊賀市選挙区では、有権者の多い旧上野市中心に地域振興策などを訴えた。ある候補者は合併前の旧6市町村に設けた事務所を巡り、それぞれで出発式を開いた。「合併してよかったと思える地域作りも進めたい」と決意を語った。
同じく市町村合併のあった桑名市・桑名郡選挙区でも、選挙区内の市町をまたいで3回の出発式をした候補者もいた。ある候補者は「大変厳しい選挙だ」と気を引き締めた。
◇◆無投票 5区9人 23万人選べず◆◇
候補者68人の内訳は、現職36人、元職5人、新顔27人。党派別では、自民22人、民主7人、共産3人、公明2人。女性は3人だった。
無投票当選が決まったのは三重郡(定数2)、亀山市(同1)、名張市(同2)、多気郡(同)、熊野市・南牟婁郡(同)。1票を投じられなかった有権者は、総有権者数の約15%、23万515人(29日現在)に上った。
無投票当選は前回の10選挙区13人から、5選挙区9人に減った。平成の市町村合併後に選挙区割りが見直され、9あった1人区が隣の選挙区と合区するなどして2に減ったことで、立候補しやすくなったとみられる。
この日、午後5時に候補者の届け出が締め切られると、5選挙区の候補者は、支援者らと万歳をするなど、当選を喜び合った。亀山市では、4選を決めた桜井義之氏(44)が選挙事務所で花束を受け取り、「(無投票は)議会改革を前へ進めよとの声の表れ。一緒に新しい時代を築いていきましょう」と述べた。
無投票の連続記録は、同市と旧南牟婁郡が最多の3回。多気郡と旧熊野市が2回。亀山市では過去3回の市長選も無投票で、有権者が1票を投じる機会は限定的な状態が続いている。
◇◆地域政党「新政みえ」始動 民主と差別化図る候補も◆◇
県議会の民主・連合系会派「新政みえ」は30日、立候補した現職5人が所属政党を「新政みえ」と県選管に届け出たことで、正式に地域政党としてスタートした。同時に確認団体の届け出もおこない、選挙カーなどを用意して選挙運動を開始した。
新政みえの公認候補者は、四日市市、鈴鹿市、鳥羽市、伊勢市の4選挙区にまたがる。5人のうち3人は民主党推薦、2人が同党の支持を得ている。
確認団体になると、政党としての演説会や、選挙カー1台、ポスター、ビラ配りなどが許される。新政みえは選挙カーとビラを用意した。選挙カーは県内を北から南に縦断するという。
4選挙区のうち3選挙区は、別に民主党の公認・推薦を受けた候補者もいる。今回、新政みえで立候補した候補者は、差別化を図り、選挙カーを活用して選挙運動を強化したいとの狙いがある。