関係学会のうち、日本腎臓学会のみは「声明の中身に異論はないが、5月に予定している理事会の決定を経たい」と、この日は声明への参加を見送った。厚生労働省は、臓器移植法の運用指針に病気腎移植の禁止規定を加えるかどうか検討をする。
声明はまず、万波医師らによる腎臓の摘出が医学的に妥当だったかどうかを、疾患ごとに検討。良性疾患のうち、ネフローゼについては、「十分な医療を受けていたという確証が得られない」▽尿管狭窄(きょうさく)、腎動脈瘤(りゅう)などについては「腎臓を温存する治療が第一選択で、摘出が医学的選択肢になるのは例外」▽感染症などその他の障害については「抗生物質などの投与で治癒に努めるべきだ」とした。一方、がんについては「摘出、部分切除など種々の選択肢がある」とした。
そのうえで、摘出が認められた場合であっても移植が妥当だったかどうかを吟味。がんの患者からの移植は、「再発のリスクが高まる」と否定し、動脈瘤については「破裂の危険があるから摘出したのに、動脈瘤が治療されないまま移植されている」とし、「医学的な妥当性がない」と結論づけた。
このほか、摘出や移植について説明がなされ書面による同意が得られているか▽どのような手続きで移植患者が選ばれたか▽倫理委員会などで検討がなされたか——などについても検証したうえで、「今回の一連の病気腎移植については、移植医療として多くの問題があったと言わざるをえない」と結論づけた。
http://www.asahi.com/national/update/0331/OSK200703310156.html