気分が悪くなったお年寄りに声をかける保健師の女性。1週間の避難所生活で体調を崩す高齢者たちが増えている=31日夕、石川県輪島市門前町道下の門前西小学校で
石川県災害対策本部の3月31日午後8時現在のまとめによると、地震による死者は1人、けが人は重傷者25人を含む279人にのぼった。亡くなった1人は、地震発生時に自宅の庭で亡くなった輪島市の女性だった。
最大震度6強の揺れで壊れた住宅は2000戸を超え、このうち全壊は302戸、半壊357戸。震源に近い輪島市は被害が大きく、538戸が全半壊し、全半壊戸数全体の約82%を占めた。
地震翌日の26日には6市町で最大2624人が避難所に移った。余震が収まりつつあるなかで、31日現在も、なお輪島、穴水、志賀、七尾各市町の34カ所で1139人が避難所生活を続けている。
避難所には各地から救援物資が届いている。石川県は物資が大量に届いて被災地が混乱しないよう、企業や個人からまず電話で申し出を受けて、物資のリストを作り、要望のある物だけを選んで送ってもらう方法を採用。30日までに251件の打診があり、37件を受け入れた。
輪島市も同様の方法を採用しているが、より速やかに被災者の要望に沿った物資を集めるため、ホームページも活用し、物資を募っている。31日は避難所用の使い捨て食器トレー、屋根が壊れた家屋を覆うブルーシートを求めた。
長引く避難生活で体調を崩す人も増えてきている。県のまとめでは、30日夜までに避難所で何らかの不調を訴えている人は182人。このうち97人が不安や不眠の症状だ。県では臨床心理士を巡回させるなど、疲労に対する本格的なケアに乗り出している。
また、余震に対する不安から自家用車の中で寝泊まりする人もいるが、県は実態把握できていない。3月29日早朝には、輪島市旧門前町地区で車の中で暮らしていた男性(44)がエコノミークラス症候群とみられる症状で病院に運ばれた。
県は輪島市と穴水町の4カ所に、仮設住宅計130戸の建設を決めた。しかし、入居できるのは早くて4月下旬。それまでの被災者の健康管理が課題だ。
道路・鉄道網の復旧は急ピッチで進む。崩落で不通になった能登有料道路の柳田—穴水間(48.2キロ)のうち、柳田—徳田大津(21.2キロ)がすでに開通。のと鉄道(七尾—穴水)も30日に運転を再開した。
http://www.asahi.com/national/update/0331/OSK200703310140.html