富山市の水落光男・元1級建築士による耐震強度偽装問題で、国土交通省などは29日、埼玉県鶴ヶ島市に建設中の分譲マンション「アップルガーデン若葉駅前」(工事中止)の構造計算書に改ざんが見つかり、耐震強度が50%しかないと発表した。
東京都中央区の「アパホテル日本橋駅前」も不適切な設計により一部の柱の強度が不足していることがわかった。今回の2件を含め強度不足が判明した6件はいずれも全国でホテルチェーンなどを展開する「アパ」グループが建築主で、強度50%は6件の中でも最も弱い。
国交省の調査によると、アップルガーデンについて水落元建築士は、構造計算の前提となる建物の重量を低く見積もったり、地震の際に柱や梁(はり)にかかる「地震力」の値を8割程度にして入力したりして、細い柱や少ない鉄筋でも耐震基準を満たすように偽装していた。
水落元建築士は「設計途中だった」と故意を認めていないが、建築確認などを所管する埼玉県では構造設計の専門機関に調査を依頼し、偽装と判断した。アパでは、問題発覚後、同マンションの工事を中止。昨年11月までに購入者との契約をすべて解除している。15階建ての5階までしか出来ていなかったため、国交省は「ただちに倒壊などの恐れはない」としている。
アパホテル日本橋駅前は、1階から6階までつながっている特定の柱の強度が基準の7割程度と弱く、長期的には柱にたわみが出る恐れがある。偽装ではないが、柱の強度計算が行われた形跡がないなど、ずさんな設計が判明した。
水落元建築士の物件の調査では、17都道府県の227件のうち、京都市の2ホテルなど計6件の強度不足が判明、現在も45件で調査継続中となっている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070329i114.htm?from=main1