火災保険料の取りすぎの内容
会見する東京海上日動の石原邦夫社長=30日午後、東京都中央区日本橋本石町2丁目で
会見するあいおい損保の児玉正之社長=30日午後、東京都中央区日本橋本石町2丁目で
火災保険料の取り過ぎは、耐火性の高い外壁材料や構造で建てられ、本来なら保険料が割安になる戸建てやマンションに割引をしていなかったミスが大半を占める。今後の調査分も含め、各社は取り過ぎた分を顧客に返す作業を進める。
損保各社は、新しい工法が出るたびに割引制度を増やし商品を複雑化させてきた。一方で、契約を取り付ける代理店などに、必要な専門知識などを十分に指導しないまま販売を続けた結果、取り過ぎを多発させた。
金融庁が昨年12月、取り過ぎの総点検を要請し、これまでに大手6社が報告。6社以外の損保各社も順次、報告する。
また、東京海上とあいおい損害保険は30日、同庁に報告した自動車保険などの保険金不払いの最終調査結果も発表した。
東京海上の不払いの件数は8万4785件(約68億5000万円)に達し、昨年9月の発表より件数が3割増、金額は同1.5倍に拡大した。
あいおいは11万1992件(約51億9000万円)で、昨年9月よりも件数で6割増え、額はほぼ倍増した。
保険金の不払いと保険料の取りすぎが、調査のたびに増える「底なし」の様相をみせていることについて、東京海上の石原邦夫社長は30日の会見で「今まで消費者保護に欠けていた」と認めた。
金融庁は今月、東京海上など損保10社に一部業務の停止命令を含む厳しい行政処分を出したばかりだ。だが、この日会見した東京海上の石原社長、あいおいの児玉正之社長はいずれも「改革を進めることが使命だ」などとして、引責辞任する考えは否定した。