この寄付金をめぐって、厚労省は昨年から、藤田教授らの相談を受けて把握していたと説明。研究の信頼性が損なわれないように寄付を受け入れないなどの指導を怠っていたとし、「責任の過半は厚労省にある」と謝罪した。
説明では、同省医薬食品局は06年8月、横田教授らから「研究班とは別に中外製薬から研究費をもらう」と報告を受けた。当時の担当課長や課長補佐は不適切だと認識しながらも、翌月に人事異動。後任への引き継ぎが不十分で問題意識が伝わらなかったという。
さらに、同省は横田教授らから同年12月、「国の研究費が足りない。不足分を中外製薬などからの寄付金で補う」と確認を求められたにもかかわらず、不適切との指摘をせず、国の予算の確保もしなかった。同省医薬食品局の中沢一隆総務課長は「反省すべきことを反省し、信頼の確保に最大限の努力をする。夏ごろまでに調査結果をまとめたい」と話した。
研究班は05年度にでき、06年秋に服用と異常行動の関連性は認められなかったとの見解をまとめている。
横田教授は06年度までに計1000万円、森島恒雄・岡山大教授は計600万円を中外製薬から奨学寄付金として受け取っていた。厚労省によると、研究班は当初、中立性を保つため、学会などに協力を得る予定だった。しかし、協力は得られないと判断。疫学研究に多額の費用がかかるため、研究班とは別に、横田教授を代表、藤田教授を事務局長とする「インフルエンザ臨床症状研究会」をつくり、統計数理研究所内に事務局を置くなどし、中外製薬から資金を受けていた。国の研究費が不足したため、627万円はすでに調査票の印刷や発送経費として使ったという。
横田教授や中外製薬も同省で相次いで記者会見。横田教授は「誤解を招いたのは遺憾だが研究は公平性が保たれている。研究を完成させるためにも続けたかった」。中外製薬は「寄付について厚労省は是認していたと思っていたので驚いている」と述べた。
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