石油製品は昨年、消費者物価の伸び率を最大0.20〜0.48%分押し上げたが、昨年末から原油価格の低下と暖冬による需要不足で伸び率は縮小。2月は前年同月比0.6%下落とマイナスに転じた。このため食料のほかエネルギーを除いた総合指数は前年同月比0.3%下落し、14カ月連続の前年割れとなった。
消費者物価への影響度が高まっているIT(情報技術)・デジタル関連製品の値下がりも続いている。携帯電話の通信料は前年同月比マイナス2.3%と、下落率は前月の同0.2%から大きく拡大した。薄型テレビは前年同月比で26.0%、ノートパソコンは同19.4%それぞれ下落したが、下落率はやや縮小した。
値上がりした品目は、授業料やたばこなどだった。
日本銀行は2月の利上げの際、消費者物価がマイナスになる可能性も予見し、「物価はゼロ近傍(横ばい)で推移する」と表明し利上げに踏み切った。このため、今回の物価下落が当面の金融政策に与える影響は小さいと見られる。
大田経済財政相も30日の閣議後会見で「デフレ脱却が視野に入っているという従来の見方は変えていない」と述べ、物価が一方的に下がる状況に戻る可能性を否定した。