MBOの代表例
05年に買収防衛策の考え方をまとめた企業価値研究会を近く再開し、具体策を詰める。会社法など関係法令を改正する可能性もある。経産省の北畑隆生事務次官は29日の記者会見で、研究会の検討課題については明言を避けたが、「M&Aの世界では色々な手法が出てくる。新たな事態も勉強すべきだ」と述べた。
M&A仲介会社のレコフによると、06年の国内のMBOは80件(7017億円)で、前年の67件(2975億円)から大幅に増加。魅力的な投資案件と見るファンドの動きも活発化している。
しかし、MBOでは、株を高く売るべき立場の取締役(経営陣)が、株を安く買いたい買収者の立場になる。少数株主にとっては、不当に安い価格での売却を半ば強制される恐れがある。経産省幹部も、一部のMBOについては「背任まがいと受け取られかねない」と問題を指摘している。
レックス・ホールディングスのMBOをめぐっては、少数株主が提訴の構えを見せている。株主らは、同社がMBO前に業績予想を下方修正し、株価が急落していた経緯などを問題視している。
金融庁は昨年12月に証券取引法の政省令を改正し、MBOで株式公開買い付け(TOB)を実施する際は、買い取り価格の算定評価書の添付を義務付けるなど情報開示を強化した。ただ、市場では「規制は不十分」との見方が多く、両省による規制強化の検討でも「価格の決め方」などがポイントになるとみられる。