キムラヤは、家電やブランドバッグ、宝飾品など幅広い商品を揃え、全国15店舗を展開する。
同社に対し、昨年8月14日、同社の渋谷東口店(昨年7月閉店)で販売されていた限定版ペンダント「ビーゼロワン ヘッド&チェーンセット ピンクゴールド」(正規価格16万8000円を11万円前後で販売)が偽物と指摘する通知書がブルガリから届いた。
クリスマス目前の12月19日には、新橋本店の「ビーゼロワン リング(Sサイズ) ホワイトゴールド」(同11万円を6万円前後で販売)も「ニセモノ」と指摘する通知書が送達された。
ブルガリ側は2度の通知書で、指摘した商品について「通知人(=ブルガリ)により、あるいは通知人の許諾に基づき製造されたものではない」とし、(1)全店舗の販売即時中止と在庫品の保管(2)仕入れ業者の情報開示−などを要求。さらに、誠意をもって対応しない場合、法的措置を取ることも検討すると警告した。
キムラヤは全店舗の当該商品を即時回収するなどブルガリの指示に従ったが、購入者への通知や来店客への説明はしていなかった。
同社商品部の鈴木栄雄部長は「本件の対応は当社が加盟している日本流通自主管理協会に一任し、協会の指示のもとで動いている」とし、「協会も当社も偽物とは思っていない。現在、協会がブルガリに問い合わせて調査中。我々はその結果を待って然るべき対応を取る」と説明する。「ニセモノ」と指摘された商品の販売個数や店頭回収した在庫数も、「把握が困難で明らかにできない」としている。
同社の対応に、宝飾業界関係者は「昨年8月に指摘されたのに、半年以上経過しても消費者に何の説明もないのはあまりに無責任ではないか」と首をひねる。
一方、キムラヤに対応を指示した日本流通自主管理協会事務局の姉川博氏は、「本社から内容証明が届いても、すぐに偽物と判断するわけにはいかない。白黒はっきりする前に消費者に情報開示すれば、余計な混乱を招くだけだと判断し、キムラヤにも開示を待つよう指示した」と“隠蔽(いんぺい)”を否定。さらに、「キムラヤ同様、他の小売店にも通知が届いているが、同じ指示を出した」と明かす。
姉川氏によれば、ブルガリは現在、キムラヤをはじめとする該当小売企業の仕入れルートを遡って調査しているというが、「その調査背景(経過)がなかなか見えない。今年に入ってもブルガリに何度も状況を問い合わせているが、返答はまだない」という。
真贋調査はともかく、現時点で“グレー”である商品を本物だと思って身に付けている消費者がいるのは紛れもない事実だ。「消費者から即商品を回収しても、それで責任が果たされたとはいえないし、仮に悪徳業者がいた場合、ブルガリの調査の邪魔になってしまうとも考え、早急の開示は避けた。調査結果を待って然るべき対応を取るつもりだったが、これが報道された時点で、回収に向かって動く必要があるだろうとキムラヤには伝えるつもりだ」(姉川氏)。
ブルガリは「現在手続き中のため、個別の案件に関してはノーコメント。ただし、偽造品を流通させる業者に容赦はしない。法的措置も辞さない」と代理人のTMI総合法律事務所を通じてコメントした。ブルガリの日本法人・ブルガリジャパンも「当方はあくまで本社の決定を伝える中継的な役割。本社が明らかにできないことはお答えできない」としている。
ZAKZAK 2007/03/30