IIJは、松下のブランド名「ハイホー」や利用ドメイン名をそのまま引き継ぐ。約20万人のハイホー会員は現状のまま、接続を続けることができる。
ネット接続事業は、ADSL(非対称デジタル加入者線)から光ファイバーへの移行時の顧客獲得が勝負となっている。このため、自前の回線インフラを持つ通信会社系の事業者が勢いを伸ばしている。
一方、ネット普及期の90年代半ばに相次いでサービスを始めた電機メーカー系の事業者は、新たな収益源の確保を迫られている。例えば、富士通系のニフティやNECビッグローブは、ネット利用の窓口となるポータルサイトの運営を強化し、広告収入の増加を狙っている。
松下は、こうした生き残り策を選ばず、急成長が見込めない同事業からの撤退を決めた。同社の接続事業は知名度が高いものの、100万人単位の契約者を持つ他社に比べて規模で劣ることも売却を決めた理由の一つとみられる。
同事業を手がけていた松下の子会社は今後、携帯電話向けサイトの企画運営やシステム構築、テレビを通じたネットサイトに向けたコンテンツ提供などを強化。ネットワーク事業の舞台を、情報端末としての成長が著しい携帯電話やテレビに移す。