勤務先の会社内で開かれた飲み会に出席後、帰宅途中に地下鉄の駅の階段で転落死した建設会社部次長の男性=当時(44)=について、妻が「通勤災害で労災にあたる」として、遺族補償などを不支給とした中央労働基準監督署(東京)の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日、労災と認めた。
訴訟で労基署は「会合は業務ではない。飲酒量も相当あった」と主張したが、佐村浩之裁判長は「酒類を伴う会合でも、男性にとっては懇親会と異なり、部下から意見や要望を聞く場で出席は職務。飲酒は多量ではなく、酔いが事故原因とも言えない。降雨の影響で足元も滑りやすかった」と判断した。
判決によると、男性は1999年12月、東京都中央区の勤務先2階で開かれた会議の後、午後5時ごろから6階で開かれた会合で缶ビール3本、紙コップ半分ほどのウイスキーを3杯飲んだ。
午後10時15分ごろに退社し、約10分後、地下鉄日比谷線築地駅入り口の階段で約18段下の踊り場まで転落。頭を強く打ち、病院に運ばれたが死亡した。
労基署は2000年、妻の労災申請に対して「通勤災害ではない」として不支給決定した。
ZAKZAK 2007/03/29