気象庁は28日、近畿地方での都市部のヒートアイランド現象の原因などを解析した監視報告をまとめた。京都、大阪、和歌山の3市の夏の気温上昇が、東京都心を上回っていることが分かった。
同庁は、関東地方のヒートアイランド現象の監視報告を2005年からまとめているが、近畿では初めて。
報告は1936—06年の気温の変化を分析し、50年間でどの程度の上昇になるか換算。8月の平均気温の上昇幅は、東京都心が0.83度。京都は1.22度、大阪1.17度、和歌山1.10度で、神戸は0.61度だった。
ヒートアイランド現象が発生する範囲は、近畿の方が関東より狭いという。
同庁は「地形や都市化のスピードの違いが影響しているのではないか」と分析している。
最低気温が25度以上の熱帯夜の増加日数は、大阪では10年間で6.4日、京都と和歌山は3.4日、神戸は2.1日。東京は3.5日だった。
大阪湾から涼しい海風が入っても、大阪の都市部で強く加熱されて上昇気流になってしまい、京都や琵琶湖方面など風下の内陸方面には、風が届きにくくなっていることも判明した。
ヒートアイランド現象発生のメカニズムとして(1)地表面がアスファルトやコンクリートで固められると熱を吸収し、気温上昇を抑える水分の蒸発もなくなる(2)ビルなどの建物が風を弱める(3)産業活動などによる人工排熱—を挙げた。
ZAKZAK 2007/03/29