公開されたのは、25日から慶尚北道・倭館の在韓米軍基地「キャンプ・キャロル」で行われている戦時増員演習(RSOI)の一部。合同野外機動演習「フォール・イーグル」も並行して行われており、米軍から原子力空母「ロナルド・レーガン」を始め、増援の6000人を含む、総計2万9000人が参加している。
同基地には、増援軍のための武器弾薬や医薬品などが集められており、一個旅団の通常装備を補給、整備する能力を持つ。28日は、車両に積み込む装備の点検や整備、輸送作業が行われた。00年夏に実戦配備され、戦闘地域まで自力で移動して戦車などを修理する車両も公開。貨車に積み込まれた戦闘車両は2日で前線の作戦地域に輸送されるという。
こうした演習が重視されるのは、北朝鮮軍が、米軍の増援前に大勢を決する「速戦即決」戦術を取ると予想されるからだ。韓国国防白書によれば、北朝鮮軍は地上軍の7割を南北軍事境界線近くに配置。1時間でソウルの大半を壊滅できるという。統一研究院の鄭永泰北韓研究室長は「この戦術に沿う限り、北朝鮮軍は精強。必要な演習も十分実施している」と説明する。
朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は28日、「挑発的な北侵合同軍事演習」と伝えるなど、強く反発している。演習が北朝鮮の戦術の無力化を狙っていることを、十分に意識しているようだ。
一方、韓国政府は、戦時作戦統制権の移管に伴い、有事の際に総計69万の米軍増援をうたった共同作戦計画「5027」を見直す方針だ。関係者からは「今度は米側も増援の数まで約束しないのではないか」と心配する声も上がっている。
演習に参加した米陸軍第19支援司令部司令官のレイモンド・メイソン少将は28日、移管に伴うRSOIの変化について「個人的見解だが、在韓米軍と韓国軍の論議を経て決められるはずだ」と語るにとどめた。