◆当選率、市町村議の半分◆
今回の予定者、3人だけ
定数51の県議会に女性議員は2人、構成比で4%。かつてのような「女性議員ゼロ」の時代は脱したが、女性が県議になるハードルはまだ高い。今回の県議選でも約70人の立候補予定者のうち、女性は3人に過ぎない。なぜ、女性県議は増えないのか。(新田菜穂子)
95年に初当選し、今回引退する福山瞳さん(66)=松阪市選挙区=は28年ぶりの女性県議だった。
財団法人「市川房枝記念会」が総務省のデータを基に集計したところ、03年統一地方選で町村議選や市議選では、女性候補者の当選率がそれぞれ86・7%、80・5%と高かったのに対し、県議選は42・8%。県議選で、女性の当選が難しい実態が浮かび上がる。
福山さんは女性県議が少ない理由に、当選に必要な得票数が多いことや、比例区がないことを挙げる。顔の見える範囲で手作りのビラを配って当選できる規模ではない。
福山さん自身の当選も、組織の支援が欠かせなかった。選挙直前まで教員を務め、引退議員の後継として県教職員組合(三教組)に擁立された。03年に初当選した末松則子さん(36)=鈴鹿市選挙区=は、父が県議会議長を務めた「二世議員」。今回、津市選挙区に立つ杉本熊野(ゆや)さん(53)も三教組の候補だ。
しかし、杉本さんは「自分のことを理解してもらえれば、有権者にとっては男も女も関係ない」といい、有権者との距離が近いミニ集会の開催に力を入れる。
一方で、女性の立候補予定者たちは「女性が県政の場にいる意味は大きい」と口をそろえる。末松さんは「不妊治療や乳がんなど、女性県議でないと打ち明けにくい声の受け皿になれる」と話す。杉本さんは、子育てや高齢者介護を支援するため、地域に人と人とのつながりをつくり出したいという。
松阪市選挙区で立候補を表明した市野典子さん(44)も「同じ選挙区で福山さんが引退し、女性候補が1人もいなくなることに危機感を覚えた」と話す。保育園や老人福祉施設の人手不足などを解消したいという。
女性議員に、男性議員も触発されることもある。「女性に関する私の質問に、関連質問をしてくれる男性議員も出てきた」と福山さん。「全選挙区から女性議員を出すことはできない以上、男性も女性の問題に関心を持ってほしい」