桜の名所として知られる奈良県の吉野山の姿を描いた狩野派のびょうぶ絵で、戦後行方が分からなくなっていた「吉野山風俗図屏風(びょうぶ)」が28日までに見つかった。
16世紀後半、安土桃山時代の作品とみられ、寄託を受けて調査した京都国立博物館(京都市東山区)は「寺院の姿などから、吉野山を描いた風俗図としては最古の可能性が高い」としている。
水墨で描き彩色しており縦1.5メートル、横3.4メートル。吉野の山々に囲まれた金峯山寺と参拝道を中心に、花見で酒を酌み交わす人々や、茶店で休憩する旅人の姿などを生き生きと描いている。
同博物館によると、尾張徳川家に伝わっていたものが売却され、1940年代以降は行方不明になっていた。約2年前、愛好家が米国で発見し購入したという。
吉野の風俗図としては、豊臣秀吉の花見を描いた17世紀初めの「吉野花見図屏風」(重要文化財)がこれまで最古とされていた。
びょうぶ絵は10月、同博物館の特別展で一般公開される。
ZAKZAK 2007/03/28