「理屈では悪いとわかるが、実感はなく、ひとごとのような感じ。遺族の調書を見ても、いま一つピンとこない」
前上被告は今月初め、奈良市の女児誘拐殺害事件の死刑囚らと面会してきた長谷川博一・東海女子大教授(臨床心理学)に、法廷での言葉とは食い違う気持ちを書いた手紙を送った。
長谷川教授は前上被告と昨年12月から計8回面会を重ねた。被告はその際、幼稚園の頃に郵便局員がかぶった「白いヘルメット」に性的興奮を覚えたことなど裁判で明かさなかった話もしたという。同教授は死刑判決を受け、「人格形成過程などを分析する情状鑑定を実施するなど、審理をもっと尽くすべきだった」と語った。
前上被告は昨年1月の第4回公判から「責任を取らねばならず、死刑の覚悟はできている」「申し訳ないことをした気持ちでいっぱい」と謝罪の言葉を繰り返した。今年2月の弁護側最終弁論では、前上被告が毎日のように被害者の冥福を祈って写経をし、数珠を手に読経していることが明らかにされた。
判決後、3人の遺族は代理人弁護士を通じ、「当然の結果だ」「一日も早い死刑執行を望むだけです」などとする談話を出した。
http://www.asahi.com/national/update/0328/OSK200703280051.html