——「すしのこ」に続き、「はちみつ黒酢ダイエット」も息の長い商品になりましたね。
「入社2年目の女性社員を中心に開発した。黒酢なのにパッケージは赤。お年寄り向けというイメージを打ち破った。堺の酒屋を通じて口コミで広がり、女子高生も飲むようになった。実は、『まずいものナンバーワン』とも評され、やめていたかもしれない商品。どこかで喜んでくれる人がいると信じて食らいついた結果だった」
——商品開発で心がけていることは?
「店頭では数多くの商品が出ては消えていく。一過性の目新しさに頼らないブランドづくりに力を入れる。食品にとらわれず、健康、美容など付加価値を得られる分野で酢を生かす」
「03年から異業種と組み、商品開発をしてきた。営業担当は、飲食店だけでなく、医薬品、酒、菓子メーカーなどに足を運んだ。常盤薬品工業と健康補助食品、扇雀飴本舗とのどあめを製品化。ポッカコーポレーションとは、ポン酢開発にこぎ着けた実績がある。可能性があれば、技術からデザインまで他社への協力は惜しまない」
——やはり、事業の中心は酢ですか。
「健康を気遣うべき30、40代にも酢の効果を伝えていきたい。若い人にとって、おしゃれな感覚で酢をとらえてもらうような提案を考えたい」
「一つの分野で規模を広げて稼ぐやり方では危ない。動きやすい企業規模を生かして、時流にあった事業を展開する。必要であれば、国内外の企業合併・買収(M&A)も検討したい」
——人材育成の仕組みもユニークだとか。
「営業ノルマは設定しない。プロジェクトのチームが自発的に助け合いながら向上し、成果が出てくる。直接話し合う密なコミュニケーションで、責任ある仕事をするようになる」
「社員に大学の医学部などで再び学んでもらう人事制度を導入した。現在3人が対象で、うち2人は08年2月には医師国家試験を受ける見込み。専門知識を身につけ、新たな商品の視点を生み出す狙いだ」
——食品メーカーとして、安全性の確保も大きな課題ですね。
「本社工場は、高度な衛生管理の方法HACCPを取得しているが、それだけで安全は保てない。生産現場で、自分の仕事が全体でどんな位置付けか、分かる仕組みを取り入れる必要がある。職場間の異動を多くし、互いの仕事が理解できるようにしている」