大学教員には、大別して教授と助教授、講師、助手の四つの職種がある。このうち、約3万7000人いる助手は、学校教育法で「教授および助教授の職務を助ける」とされているだけ。このため、教授らの研究の手伝いから大学院生のお世話まで仕事は幅広い。助手の多くは合間を縫って自らの研究に励むが、「若手の成長を妨げている」と指摘されてきた。
そこで文部科学省は05年7月の法改正で、「主たる職務が教育研究」と定めた「助教」を新設。従来の助手を、自ら研究して教壇にも立つ助教と、授業・研究の準備や機器の管理など補助作業が中心の新たな「助手」に分けた。約3万9千人いる助教授も准教授とし、教授に次ぐ地位であることを強調する。ともに4月から一斉に実施する。
従来の助手をどう振り分けるか、待遇をどうするかは各大学の判断次第だ。3310人の助手を抱える早稲田大では助教になるのは3分の1程度だが、慶応大は561人の助手全員を助教にする予定。法政大は28人の助手はそのままに、新たに助教を1人採用する方針だ。
今回の見直しを評価する関係者が多いが、「名前を変えただけではダメ」との声もある。九州大では、大学院理学研究院が助手全員を助教に切り替えるが、学内には教授—助教授—助手の上下関係が厳しくて若手が自立しにくい講座もあるという。前同研究院長の小田垣孝教授は「形式的な制度やポストの導入ではなく、根本的な考え方を改めないと、若手研究者の育成にはつながらないのでは」と指摘する。