改正案は、相次ぐ児童虐待事件を受け、与野党で作る「児童虐待防止法見直し勉強会」(幹事・馳浩自民党衆院議員)が昨秋から検討してきた。
現行法では、虐待の疑いがあっても親の同意がなければ立ち入り調査はできない。そこで改正案では、都道府県知事が「出頭要求」を出し、それでも調査に応じない場合は、児相が裁判所の令状を取り、強制的に立ち入り調査できるようにする。悪質なケースは児相が「立ち入り拒否罪」で告発、警察が捜査する。
また、親が子どもにつきまとったり、周囲をうろついたりするのを防ぐため、知事らが「接近禁止命令」を出せるようにする。裁判所の判断で施設に強制入所させた子どもの親が接近禁止命令に違反した場合、罰金や懲役などの罰則を設ける。
現行では強制入所の子どもに限られている親の面会や通信の制限も、範囲を拡大。親の同意を得た施設入所や一時保護されている子どもについても、児相所長らの判断で制限できるようにする。
与野党は当初、子どもに必要な治療を受けさせない育児放棄(医療ネグレクト)について、親権の一部を一時的に停止する制度の新設も検討したが、これについては現行の民法上の親権喪失宣告と親権停止の保全処分を積極的に活用していく方向で一致した。