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2007年03月26日(月) 02時05分

3月26日付・読売社説(2)読売新聞

 [「あるある」捏造]「関西TVは『報告書』にどう応える」

 「テレビが失敗したときは、こう立ち直る——そんな〈関西テレビモデル〉を示せ」。報告書はそう求めた。

 「内部の自浄とたゆまぬ改革努力が不可欠」とも指摘している。関西テレビは、この要請にいかに実効ある改革で応えるのか。

 「発掘!あるある大事典2」の捏造(ねつぞう)問題を検証してきた外部の有識者による調査委員会は、当初問題になった「納豆ダイエット」編以外にも3件の捏造番組があった、と認定した。実験データの改ざんも4件、不適切な編集が見つかったものも2件あった。

 これらは、いずれも下請けの制作会社を通じ、番組作りの再委託を受けた都内の孫請け会社が作ったものだ。これ以外の孫請け会社が作った番組6件にも、不適切な編集などが見つかったという。

 「背景には『あるある』を取り巻く制作環境、日本の放送界の構造上の問題がある」。調査委は、不祥事の原因と背景を、そう分析している。

 捏造などの不正行為は、孫請け会社のディレクターらが行っていた。しかし、下請け会社や関西テレビには、不正を見抜き、防止するチェック機能が完全にマヒしていた。その責任は重い。

 健康情報番組では、近年、類似の不祥事が相次いでいる。だが、経営幹部の危機意識は薄く、内部統制の仕組み作りの努力を怠ってきた。これらが不祥事発生の背景的・構造的要因だという。

 その認識に立って、報告書は、調査委からの「提言」とともに、再発防止策を手厚く書き込んでいる。

 報道・制作部門には、番組の情報の正確性を確保するためのチェックフローの作成、制作会社との公正な契約の締結などを求めた。経営側にも、取締役会決議による番組制作ガイドラインの制定と公表を求めるなど、すべてコンプライアンス(法令順守)重視の内容だ。検証番組の作成なども提案している。

 一連の不祥事の背景に、「放送人としての職業意識、当事者意識の希薄さ、欠如がある」と指摘した部分は、放送関係者に強く反省を迫るものだろう。

 業界団体の日本民間放送連盟は、NHKとで構成する「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の機能強化など、対応策を打ち出した。番組捏造などがあった場合、調査した上で放送局に再発防止策の提出を「勧告」するなどする。

 総務省も、放送法の改正案に同様の報告書提出要請を盛り込む方針だ。

 いずれの場合にも求められるのは、防止策の実効性の担保だ。それなくして、視聴者の信頼回復は困難だろう。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070325ig91.htm