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2007年03月26日(月) 12時53分

中3虐待の内妻に懲役14年判決 大阪地裁堺支部朝日新聞

 大阪府岸和田市で02〜03年、中学3年だった内縁の夫の長男(18)を自宅に閉じこめて餓死寸前に追い込んだとして、殺人未遂罪に問われた無職川口奈津代被告(41)の判決が26日、大阪地裁堺支部であった。細井正弘裁判長は「ミイラのような状態になるまで長男を放置しており、人間としての感情は見受けられない。長男が味わった絶望感や苦痛は想像を絶する」と述べ、川口被告に懲役14年(求刑懲役15年)を言い渡した。

 判決によると、川口被告は内縁の夫の烏野(からすの)康信受刑者(43)=同罪で懲役14年確定=と共謀。02年6月〜03年11月、烏野受刑者の長男に対し、外出を禁じ、数日に1回の食事しか与えないなどの虐待を続け、放置して殺害しようとした。

 川口被告側は長男への虐待は認めたが、「長男に食事を与えようと努力していた」と殺意を否定。これに対し、判決は「言い訳程度の食事を与えていたにすぎず、衰弱した長男に治療を受けさせなければいずれは死亡すると認識していた」と退けた。

■保護の長男、回復進むが…

 長男は、川口被告の内縁の夫、烏野受刑者と前妻との間に生まれた。事件後は、実母らの世話を受けながら徐々に回復し、現在は腕や体の関節を動かすリハビリに毎日取り組んでいる。

 03年11月に自宅で保護された当時、15歳だった長男の体重は約25キロと7歳児並みで、極端に衰弱した状態だった。実母の代理人弁護士によると、今では、スプーンやフォークを使って1人で食事をすることができるようになったという。簡単な日常会話も可能になり、実母と明るい表情で話をするようにもなった。

 しかし、虐待当時の記憶は今も戻らないうえ、自力で歩行することは今後も難しいとみられており、車いすを使う訓練をしている。

http://www.asahi.com/national/update/0326/OSK200703260024.html