避難所となっている林業センターの前には給水車が到着し、住民らが水を求めて集まっていた=25日午後6時27分、石川県穴水町で
「情けないぐらい壊れちゃったわ」
穴水駅近くの旅館「宮森荘」のおかみ宮森つね子さん(59)は、壁がはがれて傾いた2階建ての旅館を見ながら、そうつぶやいた。
旅館の洗濯場にいたとき、下から突き上げるような強い揺れが襲った。その場に座り込み、とにかく揺れが止まるのを祈った。棚やタンスが全部倒れた。客室のテレビも投げ出されたように倒れていた。
開業から約60年。出張で訪れた人を中心に利用してくれていた。宮森さんは「旅館の再開も難しいかもしれない。残念だけど、仕方ない」。
過疎化が進む同町では生徒数の減少から学校の統廃合が進み、町立向洋中学校が今年度で閉校する。学校の最後の行事となる閉校式の約20分前に、地震が起きた。
79人の生徒は、式典のために合唱の練習を繰り返し、式場の飾り付けも済んでいた。閉校記念のアルバムも生徒が手作りで作製。卒業式と終業式も終わり、あとは閉校式を残すのみだったが、式は中止となった。生徒はすぐに前庭に避難し、そのまま下校させた。
今後被害が広がらなければ、29日に改めて式典を開く予定だ。
同校の加代等教諭は、「まさか式の直前にこんなことになるとは思わなかった。小さい式でもいいので、なんとか学校の歴史に一つの区切りをつけたい」と話した。
http://www.asahi.com/national/update/0326/OSK200703260001.html