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2007年03月26日(月) 00時00分

知事選 候補者に聞く <上>朝日新聞

□ ■財政再建■ □

 県の06年度末の県債残高は1兆282億円。4年連続で1兆円を超えて、県民1人あたりでは日本一。また、基金残高は07年度末に518億円まで減る見通しで、このままでは11年度には底をつく。この財政状況をどうとらえているか。具体的な財政再建策は。

<溝口 善兵衛氏>

 県財政は大変厳しい状況にある。澄田県政の下で公共事業の大幅削減、給与カットなどが行われてきたが、赤字削減策を継続しても、赤字が解消しないところに問題の深刻さがある。このため、10月末までに「財政健全化計画」を策定し、事業の徹底した見直し、行政効率化などによる総経費の抑制、産業振興などによる財源の確保に努め、財源の健全化に取り組む。その際、県民に財政状況を理解いただき、財政健全化の方策について県民の意見が十分に反映されるよう、民間の委員などから成る「改革推進会議(仮称)」を設置して「健全化計画」を検討する。さらに都市と地方との格差是正のためにも、地方の財政基盤の充実が必須であることを国などに対して積極的に主張し、働きかけていく。

<小笠原 年康氏>

 財政危機の原因は、国の言いなりになり、県・市町村あげて大型開発や不要、不急のハコモノ建設に多額の税金をつぎ込んだ結果だ。こうした開発型事業優先の財政運営を、暮らしや福祉最優先に切り替えることが急務である。さらに公共事業をはじめ、県の事業を進行中のものも含めて第三者機関による事業評価をして、事業の是非、規模、時期について再検討する。公共事業は内容を地域経済への波及効果が大きい、生活密着型のものに変える。さらに税収を増やすため、島根原発の核燃料税引き上げなどを検討して、知事の退職金や交際費の削減、公用車の廃止など県民の目線で節減をはかる。何よりも、国による交付税、補助金の削減をやめさせることが必要である。

□ ■ 人口減少 ■ □

<溝口 善兵衛氏>

 地域社会の活力を維持していくためには、人口減少の歯止めは喫緊の課題。特に若い世代の県内定着を図ることが重要で、そのためには産業振興により雇用を増やすことが最も重要。また、県内で求職と求人のミスマッチ解消も必要。さらに県外の若者らへの積極的な情報提供など、UIターンの促進に取り組むとともに、子育ての経済的負担の軽減、一時保育・延長保育の充実、地域における子育て支援など、安心して子どもを産み育てられる環境づくりにも積極的に取り組む必要がある。

<小笠原 年康氏>

 若者の流出を食い止め、若者が意欲を持てる雇用の拡大が必要だ。そのためにも、地場産業や中小企業の支援、振興をはかる。県の機構として、「若者雇用支援室」を設ける。公共事業を地域密着、暮らし福祉型に転換して、地域の仕事と雇用を拡大する。県土の特性を生かした農林漁業の振興も、後継者が育つ環境整備や生産性の向上に力を入れていく。人口流出で中山間地の集落崩壊が始まっているが、その原因は市町村合併や地方交付税の削減など国による「地方行革」や、小規模農業の切り捨て政策にある。政府には中止を求めていく。 

   ◆   ◆

 朝日新聞社は、4月8日投開票の知事選に立候補している前財務省財務官の溝口善兵衛氏(61)=自民、公明推薦=と、共産党公認で党県常任委員の小笠原年康氏(53)の2人に、県が抱える課題への対応を尋ねた。両候補の回答を3回に分けて紹介する。

http://mytown.asahi.com/shimane/news.php?k_id=33000000703260004