第2次大戦中に中国から強制連行され、日之影町の槙峰鉱山で強制労働をさせられたとして、中国人の元労働者ら計13人が、国と鉱山を経営していた三菱鉱業(現三菱マテリアル、本社・東京)を相手取り、総額約1億8400万円の損害賠償と日中両国の新聞への謝罪広告掲載を求めた訴訟の判決が26日、宮崎地裁で言い渡される。全国で起こされている同様の訴訟で浮上した争点がほぼ網羅されており、判決の行方が注目される。(小暮純治)
訴えているのは元労働者7人と、02年1月に死去した安保翠さんの妻や子供ら遺族6人。元労働者は77〜92歳。原告では唯一、安さんの長男の立海さん(48)が来日し、法廷で判決を聴く。
訴状によると、同鉱山には1945年2月、主に山東省から強制連行された中国人約250人が送り込まれ、過酷な労働を強いられた。移送時や滞在中に計77人が死亡。死亡率は約30%で、約3万9千人とされる強制連行された中国人全体の17・5%を大きく上回る。
中国人強制連行を巡っては、ほかに全国の地裁、高裁などで現在13件の訴訟が係争中。新潟訴訟では、一審・新潟地裁判決は企業と国双方の賠償責任を認めたが、今月14日の二審・東京高裁判決は原告側を逆転全面敗訴させるなど、司法判断は揺れている。
主な争点は(1)国家賠償法施行(47年)前の国の権力行為について国は責任を負わないとする「国家無答責」の法理(2)不法行為から20年で損害賠償請求権が消えるとされる民法上の「除斥期間」や時効規定——などの適用の是非。最高裁が近く、72年の日中共同声明で中国人個人の損害賠償請求権が放棄されたかどうかの初判断を示すが、地裁がその点に踏み込むかも注目される。
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