北陸を代表する七尾市の和倉温泉にはこの日、27旅館で計5000人近くが宿泊。「春休みに入ったばかりなのに……。客足が遠のかないことを祈るばかり」と、高級旅館「加賀屋」の経営企画室主任三井則由さん(32)は声を落とした。
加賀屋ではけが人こそなかったが、地震で館内の給湯管やガス管が切断した可能性があり、25日の宿泊客に金沢市などのホテルや旅館を紹介。26日は臨時休業とした。
旅館「和倉米久」では、屋上のタンクがひっくり返り、お湯4トンが館内に流れ込んだ。暖冬の影響で、この3月は予約が好調で、前年同期比で約2割増だった。おかみの米山正子さん(60)は「1週間ほど休業しないといけない。痛い」と話した。
日本海に面した輪島市のホテル「能登・門前ファミリーインビュー・サンセット」。余震が続き、口コミで「臨時避難所」の話が広がったため、地元のお年寄りらが「家が崩れるかもしれない。ホテルなら安全」と次々に集まった。同ホテルは大広間を開放し、被災者におにぎりとお茶を出した。
輪島市の城兼旅館は、屋根の一部が崩れ、風呂のボイラーも動かなくなった。経営者の女性(63)は「春休みで明日以降も予約が多いのに、断らなければならない。心配で眠れない」と落ち込んでいた。
穴水町では断水が続き、大半の旅館で営業を見合わせることを決めた。
http://www.asahi.com/national/update/0325/OSK200703250226.html