同社の説明や関係者によると、日興コーディアルグループは99年、米シティグループと共同でカリブ海のケイマン諸島に証券子会社を設立。さらにその後、この子会社を通じて、日本に「日興シティグループ証券」(NCG)を設立した。
ケイマン諸島の証券子会社は03年末ごろNCGに営業譲渡。それに伴い、日興コーディアルはケイマンの子会社が持っていたNCGの株を、出資比率に応じて受け取っていた。
この際、日興コーディアルは、NCGの資産価値が上昇していたにもかかわらず、ケイマンの子会社の資産価値のままで評価。このため、同国税局は、NCGの資産価値に応じて評価すべきで、実際には多額の含み益が出ていたと認定。含み益は配当とみなして利益に計上すべきだと指摘したという。
このほかの経理ミスも約33億円あった。
日興コーディアルは昨年12月、過去の決算で不正に利益を水増ししていたことが発覚し、金融庁から過去最高の5億円の課徴金納付命令を受けた。東京証券取引所は、同社株を一時「監理ポスト」に置いたが、今月12日、上場を維持すると発表した。
現在、シティグループが株式公開買い付け(TOB)により、日興の子会社化を目指している。
同社は44年、日興証券として設立。傘下に日興コーディアル証券などを持ち、顧客口座数は225万。06年3月期の営業収益は4762億円で、国内3位。
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〈日興コーディアルグループの話〉 ケイマン子会社の件は経理ミスだと認識している。その他は一部見解の相違もあったが、指摘に従った。
http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY200703230464.html