日本女子シングルの世界選手権でのメダル獲得
4回転サルコーは封印した。演技前にモロゾフ・コーチと相談して決めた。「やはり練習不足。今できることを出し切ることを優先的に考えた」。3回転で安全策をとった。途中のスパイラルで少しぐらついたが、ほぼミスはない。
万全な状態ではなかった。今年に入り、軽い新しい靴に換えた。4回転を成功させるためだった。それが足にあわなかった。21日に古い靴に戻したが、右足の痛みは引かない。ほおに浮かんだ吹き出物は、飲み続けた痛み止め薬の影響だ。それでも情熱あふれる演技を、やめることはなかった。
トリノ五輪は15位だった。「つらい時期もあった。今大会はメダルは欲しかったけど、何色かは考えなかった。勝ちにいくというより自分のベストを出そうと思った」
荒川静香を金メダルに導いたモロゾフ・コーチについて1年。力強いステップが板についてきた。最初は全身が筋肉痛になり、米国から自宅へ泣きながら電話をすることも多かった。一緒に練習を続ける高橋大輔に何度も励まされた。
コーチとは「4回転ジャンプは来年跳ぼう」と約束した。10代最後の世界選手権。10年バンクーバー五輪のメダルに向けて、新たな歩みが始まった。