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2007年03月23日(金) 00時00分

新生・島根挑む2氏/新知事誕生へ朝日新聞

★財政・人口・・・課題山積★

 統一選のトップを切って知事選が22日、告示された。いずれも新顔で前財務省財務官、溝口善兵衛氏(61)=自民、公明推薦=と共産党公認の党県常任委員、小笠原年康氏(53)の2人が立候補を届け出た。知事選が2人で争われるのは、99年以来8年ぶり。両候補はそれぞれ松江市内で第一声を上げ、17日間の選挙戦が始まった。

 知事選の立候補届け出の受け付けは、午前8時半から県庁であった。2人の代理人が届け出順を決めるくじを引き、溝口氏、小笠原氏の順になった。担当者は腕章やのぼりなどの「七つ道具」を受け取り、足早に各陣営へ戻った。

 ●溝口陣営

 溝口候補は午前9時から松江市東本町5丁目の事務所で出陣式。青木幹雄・自民党県連会長や三島治・公明党県本部代表が激励のあいさつをした。松江市の県庁前に移動して、10時から第一声に臨んだ。その後、松江、出雲両市内の5カ所で街頭演説をした。

 ●小笠原陣営

 小笠原候補は午前9時から、松江市袖師町の共産党県委員会近くの駐車場で第一声。党県委員会の中林隆委員長が「小笠原知事の誕生で、暮らしと福祉を守る県政にしていこう」と気勢を上げた。その後、国道9号を地元益田市まで西進し、支持を呼びかけた。

 統一選は前半戦と後半戦に分かれ、前半は知事選に続いて30日に県議選が告示され、知事選と同じ4月8日に投開票される。後半戦は斐川町長・町議選と、海士町議選、知夫村議選が4月17日に告示され、いずれも22日に投開票される。

∞初の地方公約 浸透期待∞

 〈解説〉澄田信義知事の引退に伴い、20年ぶりに新しい県政のかじ取り役を決める節目の選挙が告示された。県民1人あたりの県債残高全国1位、年間5千人以上の人口減、低迷する有効求人倍率……。山積する県政の課題に、候補者がどんな処方箋(しょほうせん)を示すのか。選挙の最大の争点であり、県民が候補者から最も聞きたい点だろう。県民の関心は本来、もっと高まっていいはずだが、前哨戦は一向に盛り上がらなかった。

 最大の要因は、民主党の「不戦敗」だ。ぎりぎりまで候補の人選を進めていたが、2月末に擁立を断念。選択肢を失った有権者の関心の低下で、投票率は過去最低だった前回の71・55%を下回るのではないかとの懸念が、陣営関係者の間に広がっている。だが、決して光明を見いだせないわけではない。

 改正公選法で、今回の統一選から「ローカル・マニフェスト」の配布が認められた。両候補とも数値目標のあいまいさという点での不十分さは否めないが、知事選で初登場の「マニフェスト」が選挙の現場でどう活用されるのか、注目される。

 「地方選を選挙カーでの連呼から、マニフェスト中心に変えなければならない。それは候補者だけでなく、有権者の責任でもある」。マニフェストの提唱者で、前三重県知事の北川正恭・早稲田大学大学院教授は2月10日、松江市であった講演でこう語った。

 マニフェスト選挙は、有権者自身が積極的に目を通し、選択の材料にしようという姿勢があって初めて成功する。マニフェストの浸透が、有権者の関心をつなぎとめる有効な手段になるのは間違いない。(森 直由)

http://mytown.asahi.com/shimane/news.php?k_id=33000000703230001