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2007年03月23日(金) 00時00分

タミフルと異常行動 因果関係『否定的』を撤回 東京新聞

 インフルエンザ治療薬「タミフル」服用と異常行動との因果関係について厚生労働省の辻哲夫事務次官は二十二日、十代での転落事故で死亡以外の事例を十分に検証していなかったことを認め「(現在の否定的な見解は)今後の検討の中で変わる可能性もある」と述べ、事実上白紙に戻した。

 厚労省は二十一日、タミフル服用後に転落して死傷したとする十代の副作用報告が二〇〇四年以降、十五件に上っていることを公表。このうち負傷事例九件はこれまで非公表だった。

 辻次官は「死亡事例を優先してチェックしていたため、死亡していない事例は十分な分析ができていなかった。隠す意図はなかった」と異常行動の分析が不十分だったことを認めた。その上で今後は関係症例を徹底して洗い直すなど「虚心に調査したい。(服用との因果関係についての)判断は今後変わる可能性がある」と述べた。

 厚労省はタミフルの副作用として報告されている約千八百件を調べ直し、早ければ四月上旬にも開く審議会に報告、専門家の意見を聞く。

 厚労省の対応について「薬害タミフル脳症被害者の会」の軒端(のきば)晴彦代表(49)は「輸入販売元が報告する資料を分析するのが国の仕事なのに、データを隠していたとしか思えない。国は把握しているデータをすべて公表して、現状がどうなっているか国民に示してほしい」と話した。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070323/mng_____sya_____006.shtml